2020/12/18 17:16
「夢は、個展をひらくこと。小さくてもいいからね」
目標はありますか?という質問に眼差しをまっすぐ向けながら岡田亜弓さんは、こう答えてくれました。
お父さんがipodに入れてくれたホイットニー・ヒューストンの曲を聴きながら、岡田さんは今日も細かな作業に没頭しています。
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工房集に所属する作家
岡田亜弓さん
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▼作品を紹介しています
今、熱心に制作しているのは、色とりどりの小さなガラスを組み合わせたアクセサリー。ステンドグラスの作品作りで残った端材を他の班からもらってきて、細かくカットして使用しています。
一片ずつピンセットでつまむのは根気のいる作業ですが、集中して黙々と並べていきます。
モチーフはさまざまで、ヨット、ねぎ、家、マカロン、さんぞくやき、アイスキャンディ…
他にもクリスマスツリーやサンタの靴など、時季に合わせたアイテムも人気があります。
並べたガラスは小さな炉で焼き上げます。ガラスの角がとれて、丸みをおびた優しい表情に。
岡田さんの創作は、ペンを使った細い線で描く絵から始まりました。
工房集でもおなじみ、人気のポストカード「ファンレターください!」は大好きなものをカード一面にびっしりと描き込んだカード6枚1組のセットです。
1枚の絵に、1つのテーマ。
「やさい」「種」「ファミレス」「スポーツ」「都道府県」…
テーマから連想されるものが、ポストカードを隙間なく埋め尽くしています。
一つひとつの絵はとても小さいですが、
《楽しい 嬉しい 美味しい 可愛い》
岡田さんからあふれた「お気に入り」の気持ちが、この1枚に凝縮しています。
そんな岡田さんに転機があったのは、2019年。作品が、スターバックスコーヒーつくば学園の森店に
飾られることになりました。
▼その様子はこちら
それまで岡田さんは、自分自身の記憶だけを頼りに
頭のなかで思い出しながら描いていましたが、ここに展示する作品を描くとき、初めて写真や絵を参考に「知らないもの」を描くことに挑戦しました。
これまでの「知っているもの」に、新しく「知らないもの」が加わって岡田さんの小さな世界がより深く、濃いものになっていきました。
▼スターバックスつくば学園の森店、展示の様子
▼絵の説明をする岡田さん
「この展示をきっかけに創作の幅が広がった」
と、支援員の小平さん。
絵を描く前には二人で相談しながら描くものを文字で書き出していきます。
▼びっしりと書かれた創作メモ
▼絵だけではなく、漢字も題材に
▼2020年「工房集 問いかけるアート」展にて
岡田さんの描く絵には、暮らしのなかで触れたり、食べたりしているお気に入りのものが並んでいます。
小さな絵は生き生きと表現され、まるで、「ね?楽しいでしょ?」と語りかけられているような気分です。
▼工房集グッズ展の様子
「知っているもの」から「知らないもの」へ。
絵から立体へ。
自分の枠を懸命に越えていき、
創作を深めていく岡田さん。
今後の作品も、ますます楽しみです!